リーダー研修は意味ない?問題点や実施のポイントなどを解説

リーダー研修は意味ない?問題点や実施のポイントなどを解説

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リーダー研修を何度か実施しても、期待する成果がみられないと感じる企業は多いのではないでしょうか。リーダー研修で期待する成果を出すためには、研修の内容よりも教育の仕組みを整えるのが重要です。

この記事では、リーダー研修を有意義なものとするために必要な対策にくわえて、リーダー研修の目的や教育方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。

1.そもそもリーダー研修とは?概要を解説

リーダー研修とは、おもに管理職候補、新規リーダー候補など、プレーヤーからプロジェクトや組織をけん引していってほしい人材を対象に行う研修です。リーダー候補の他に、課長や部長など現管理職の再教育という位置づけで実施する場合もあります。求められる結果を達成するためには、優秀なリーダーの存在が欠かせません。

たとえば、飲食チェーン店をイメージしてみましょう。全体でのマニュアルや仕組みなどは共通であることが一般的です。しかし、店内の清潔感やスタッフの表情や声量、接客態度などは店舗ごとに大きく異なります。この要因の多くはリーダーである店長の差に表れるといってもよいでしょう。

優秀な店長は、スタッフに仕事の意味や目的を伝えるだけでなく「仕事をとおしてどのように成長していけるか」「目標を達成するとどうなるのか」といったビジョンを見せ、適切な評価をし、スタッフに達成感や成功体験を与えています。

ビジョンに共感し、評価によって達成感を得ている人材ほど「どうすればチームとしてより成長できるのか」「お客様に喜んでもらえるのか」を考えて主体的な行動が増えていくもの。よって短期的ではなく継続的にチーム目標の達成が期待できます。

このように、リーダーの力量によってメンバーのパフォーマンスに多大な影響を与え、生まれる結果に大きな差が出やすくなるのです。チームの成果やパフォーマンスを高めるために必要なリーダー。リーダーを教育する機会として、リーダー研修が必要なのです。

2.リーダーが抱える諸問題

リーダーが抱える問題の代表的なものとして「プレーヤー(現場の仕事を担う人材のこと)とリーダー業務の兼任」が挙げられます。

近年、多くのリーダーが、プレーヤーとリーダー業を兼任しており、自身の業務を継続しながら管理者としての業務をこなす場合が増えているのです。しかしプレーヤーとリーダー業を兼任となると業務過多になりやすく、リーダーとしての仕事や責任を果たしにくくなるもの。

また、業務過多により余裕がなくなって指示が抽象的になったり、メンバーを教育する時間を割けなかったり、さまざまな問題も発生します。

このような課題を解決するために、多くの企業ではリーダー研修が実施されているのです。リーダー研修の実施によって、リーダーとしての心構えや仕事への向き合い方、時間の作り方などを学べます。

3.リーダー研修は意味ない?実施の目的

目標を達成し続ける強い組織を作るためにもリーダーの教育は重要です。リーダー研修の効果を高めるためにも、身につくスキルをきちんと押さえておくとよいでしょう。リーダー研修で身につくスキルは、おもに以下の6つです。

  1. リーダーの役割を認識してもらう
  2. コミュニケーションスキルを身につけてもらう
  3. リーダーシップ力を身につけてもらう
  4. 部下を教育するスキルを身につけてもらう
  5. 判断力を身につけてもらう
  6. 業務の課題を認識して目標を管理するスキルを身につけてもらう

3-1 リーダーの役割を認識してもらう

まず、リーダー研修の実施によって、リーダー自身が役割を理解してもらいます。なぜならリーダーが「リーダーとは何か」をきちんと認識していれば、率いるチームや組織全体の動かし方が見えてくるためです。そしてそれは、経営者目線で組織をけん引するのにもつながります。

そもそもリーダーの役割とは、リーダーシップを発揮してメンバーを巻き込み、目標を達成できる「強い組織」に成長させること。そして強い組織にするには、組織内の人間関係を良好にし、適切な目標を設定して達成に向けてメンバーを率いていく必要があります。リーダーの役割は、組織の成績向上だけではありません。円滑なコミュニケーションスキルや広い視点により組織のメンバーを支えるのも重要な役割です。

積極的にコミュニケーションを取り、目標や進捗について話し合う場を設けてその組織にとって最適な目標を設定します。実現可能な目標を設定したら、進捗確認について話し合う場を設けると、共通認識を生みやすくなるでしょう。

それによりどうすれば目標を達成できるかを全員が当事者意識を持って考えられるのです。そして会社の利益や目標達成に向けて組織が一体となって取り組めます。この「一体感」は、強い組織に不可欠な要素です。

3-2 コミュニケーションスキルを身につけてもらう

組織には、多様な性格や年齢層の人が混在しています。そのため、それぞれのメンバーが適材適所に業務を遂行するためには、コミュニケーションに工夫が必要です。

コミュニケーションを工夫するポイントとして、「人の話を傾聴する」「相手の考えを引き出す質問をする」「挨拶する」「褒める」ことが挙げられます。相手の話に耳を傾けたうえで質問すると、相手の本音や価値観などを把握できるもの。質問の際には、「聞いていい?」といったクッションとなる言葉を挟むとよいでしょう。

そして「どうして」「どんな」「どのように」を使って質問します。それにより相手の考えを整理しながら聞けるため、新たな気づきを得ていけるのです。

また「挨拶」も重要になります。「相手の目を見て元気よく挨拶する」のを習慣化しましょう。できればリーダーから挨拶するとメンバーが抱く印象もよくなり、組織内の空気も大きく変わります。メンバーとの信頼関係を築く基本は挨拶からです。

部下を褒める際は、事実に対してストレートに褒めるよう意識しましょう。「すごいね」「がんばったね」といった褒めだけでなく、「自分で問題を見つけただけでなく、改善策を考えて結果を出すまで導いたところがすごい」と過程や事実を褒めていきましょう。それにより部下は「自分のことを見てくれている」と感じ、モチベーションアップにもつながります。

3-3 リーダーシップ力を身につけてもらう

リーダーシップ力とは、組織の使命や目標、ビジョンを明確に提示して、組織の実力を結集して達成に導くスキルのこと。

たとえば「組織内の月間売上目標や新規顧客の獲得などの目標を達成するためチーム力を高めていく」のもリーダーの役割です。そうしたリーダーの仕事には、多くの責任がともなうもの。高いリーダーシップ力を発揮するためには「明確なビジョンを共有する」「全体とメンバー個人の進捗を管理する」「適切なコミュニケーションと教育」が不可欠です。

組織全体はもちろん、部下個人における業務の進捗を把握して適切に教育すると、目標達成への道筋がブレにくくなります。また、教育するうえで部下との信頼関係は重要です。部下との信頼関係を高めるためには、前述したコミュニケーション力が必要でしょう。

なお、リーダーシップ力がある人を「カリスマ性がある」と表現する場合があります。しかし一般的に「カリスマ性がある」とは、人を惹きつける資質や能力がある人を指すため、リーダーシップ力とは違う意味です。

3-4 部下を教育するスキルを身につけてもらう

目標を達成するためには、部下の成長が欠かせません。リーダー研修では部下の教育がなぜ重要なのか、どのように教育していくかを理解してもらうことが大切です。

部下の能力が向上すると全体の基礎レベルが向上し、結果を出せる組織へと成長していきます。部下の成長のためにリーダーが覚えておきたいことは「部下に任せる機会を作ること」「指示を具体的にすること」「進捗確認と適切な評価」の3つ。

リーダー業務をしていると、部下に任せるより自分で進めたほうが確実で早いと思う場面も多く出てくるでしょう。しかし、何でもリーダー自身で業務を進めてしまうと、部下の成長の機会を奪ってしまいます。部下に任せる仕事の範囲を決め、期日や指示内容を具体的に伝えましょう。指示が抽象的すぎるとリーダーと部下間で認識のズレが生じて求める結果が得られない可能性もあるため、注意が必要です。

部下が正しく理解して進行できているかを適度なタイミングで確認し、軌道修正したり部下に考える機会を与えたりします。そして結果にかかわらず「よかった点」「悪かった点」「次に生かせる点」などを振り返り、適切に評価しましょう。

評価によって部下は達成感を得られるため、モチベーションの維持・向上にもつながります。リーダーから求められている実感を得やすく、リーダーの考え方を理解する機会が増えるでしょう。このように部下の教育がリーダーにとって重要だとリーダー研修で伝えることが大切です。

3-5 判断力を身につけてもらう

リーダーにはさまざまな決定権があります。そのためリーダーになると、意思決定の場面が増え、状況に応じた適切な判断力が必要になるのです。

チームの成績は基本、リーダーの責任と評価されるため、施策や設定した目的の軌道修正が求められる場合もあります。また、部下からの企画・提案内容に対する評価やクレーム対応など、重要な場面で判断や決断を迫られるときもあるでしょう。リーダー研修では、そういった場面で役立つ判断や対応に困ったときの対応力を鍛えるのも可能です。

なお意思決定において重要な要素は、「自分軸をもつこと」「優先順位を決めておくこと」「問題とゴールを明確にすること」の3つ。意思決定をする際、人の意見を参考にする場合もあるでしょう。しかし、信頼している人の意見を過信するのではなく、参考にしながら最終的には自身で決断する機会を増やしていくことが大切です。

また、同時に複数の判断や決断を迫られる場面もありえます。何を優先するのか、何を切り捨てるかといった基準を持っておくと選択肢を減らせるでしょう。くわえて、問題の所在や原因が何か、物事の本質を見極める力を身につけておくのも大切です。

3-6 業務の課題を認識して目標を管理するスキルを身につけてもらう

リーダーには、現状の課題を見つけて解決策を提示する力や目標を管理する能力も必要です。課題解決のための目標や計画を立てて、解決に向けて業務の進捗具合を管理していきます。まず、チームが達成できる目標を設定しましょう。個人目標の立て方とは異なるため、注意が必要です。もちろん、目標達成に向けて進捗を管理するなか、現状では目標を達成できそうにないケースもあるでしょう。

解決困難な課題に直面したときは、表面的な解決を目指すのではなく、掘り下げてトラブルの原因や本質を見つける力が必要です。課題の新たな解決策を提示したら、メンバーを巻き込んで解決に導いていきます。

組織の目標を管理していくには、進捗確認とフィードバック(評価)が必須です。解決策を提示して終わらせず、適度に現状を確認し、メンバーに対してフィードバックしましょう。フィードバックの機会があると、課題解決に必要なものをメンバー自身が発見でき、自ら考えられるようになっていきます。

4.リーダー研修が意味ないと思われがちな理由

リーダー研修を行っても意味がないと思われてしまう原因として、以下4つが挙げられます。

  1. 参加者が必要性を理解していない
  2. 研修参加者が適切でない
  3. 自社の組織状況や方針に即した内容に落とし込めていない
  4. 上司の理解を得にくい

4-1 参加者が必要性を理解していない

リーダーは、日々膨大な業務を抱えている場合が多いです。またそもそも研修の必要性を深く理解できていない可能性もあります。参加者が研修の意図や目的、参加によって自分がどのように変化するかを理解していなければ、リーダー研修に参加する必要性は見出せません。リーダーになることで「責任が増えるのは嫌だ」「こんな自分がリーダーでよいのか」と感じる人もいるでしょう。

リーダーになる価値を提示し、研修に参加してもらう理由を説明することが大切です。参加者が研修に対して、リーダーになることを前向きにとらえてもらえるようなアプローチが欠かせません。そしてリーダー研修の実施後は、研修で学んだことを実務で生かす方法を参加者に理解してもらうため、実践やフィードバックの機会が必要になります。

参加者が、目的意識を持って研修に参加するための環境を構築することが大切です。

4-2 研修参加者が適切でない

リーダー研修に参加してもらう人の基準を決めておかなければ、研修の効果は見込めません。よくあるケースが「プレーヤーとして優秀だからよいリーダーになれると思って参加してもらった」「人間性を把握できておらず、昇進意欲のない人を参加させてしまった」など。

優秀なプレーヤーが必ずしもよいリーダーになれるとは限りません。優秀なスポーツ選手が監督になっても結果が出せず苦労しているケースが多いのと同様です。また、参加者候補となる人の人間性を把握せずに参加させてしまうと、研修を実施しても効果は見込めません。

管理職になるための研修を実施し、スキルを習得して適性があれば登用するという手順を踏むことが本来の流れです。しかし登用してからスキルを習得させる実態が多いため、適性がなく管理職になっているケースも見られます。リーダー候補となる人材の選抜基準を設定し、候補を教育する仕組みを整えると、リーダー研修が有意義なものになっていくでしょう。

4-3 自社の組織状況や方針に即した内容に落とし込めていない

リーダー研修の効果を高める方法のひとつは、自社の現状に応じて、研修内容と研修方法を考慮すること。リーダー研修は、半日から2日程度で実施されることが一般的です。多くの時間を割けない状況で研修を実施すると、実効性の高い研修を実施できず、総論しか学べない場合もあります。

また、自社の方針や組織状況に即した研修内容に落とし込めていないケースもあるでしょう。研修内容と自社の現状や求めるリーダー像がはく離していると、参加者は「自分のところでは活用できないだろうな」と感じてしまうでしょう。

4-4 上司の理解を得にくい

日々多くの業務を抱えるリーダーが、研修のため現場から離れることに上司が理解を示さないケースもあります。しかし研修を効果的に実施するためにも、研修に参加するリーダー候補の上司は、研修の重要性を説明して研修後にフォローしたほうがよいでしょう。

リーダー候補の社員が研修に積極的に参加できるよう、まず上司が研修に参加する意味を見出すことが必要といえます。それにより研修後のフォローも進み、効果も得やすくなるでしょう。

リーダー候補の上司に対して、研修後の報告を受ける時間を確保したり、リーダーになるための教育をする必要性を説明したりするのが大切です。研修後にアウトプットできる環境を整え、リーダーとして成長できるような仕組みを構築していきましょう。

5.リーダー研修を意味あるものとするためのポイント

リーダー研修を有意義なものにするためにも、以下4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 参加者のモチベーションを高める
  2. 組織の課題や問題点を考慮して研修内容を設定する
  3. 適切な参加者を選定する
  4. 研修後に学習内容を生かせる環境を整備する

5-1 参加者のモチベーションを高める

参加者のモチベーションを高めるには、研修の価値を参加者自身が感じられるようなアプローチが必要です。そして、研修への参加に「義務感」を与えないよう注意します。研修参加者が義務感を覚えてしまうと、積極性・主体性を失い、研修後のアウトプットにつながりません。研修の効果を十分に得られないでしょう。

また、リーダー候補者の多くが、「リーダーとして勤まるのか」と不安を感じているもの。不安を感じている状況では、研修に参加するモチベーションは高まりません。参加者がリーダー研修の目的や自身が参加者に選ばれた意味を理解し、研修後の「なりたい姿」を明確にイメージすることが必要です。

リーダー研修の企画者は、参加者のモチベーションを高めるためにも「研修参加後の姿」「参加によって得られる効果」などを具体的に提示してみてください。

5-2 組織の課題や問題点を考慮して研修内容を設定する

リーダー研修の内容は、リーダー総論にくわえて、現場の課題や問題点をカバーする内容であることが必要です。組織の現状や課題、業務内容などに即した内容に設定しましょう。リーダー研修を企画するにはまず、現況の把握が不可欠。そして研修で学んだことを実務で生かせるようなカリキュラムを作成します。

リーダー研修を企画しても、その内容を現場で生かせないと参加者が感じた場合、参加者は研修参加の意義を見出せないうえ、研修後の実務にも反映できません。研修企画者は、研修で身につけたことを実務に生かせると提示する必要があります。

そして研修で学んだことが、組織や会社全体にどのように生かせるのか、研修後に話す企画を設けましょう。参加者が研修に参加する意義を理解でき、次の研修に参加する意欲を高められます。

5-3 適切な参加者を選定する

リーダーの素質がある人を正しく選定することが、リーダー研修を成功させるためには必要です。リーダー候補の人数が多い場合、全員を参加させるのではなく「モチベーションの高い人材に参加させる」のように参加者を絞りましょう。また、外部研修で学んだことを自社に持ち帰り、自社の業務に合わせた内容に練り直して、ほかのリーダー候補に向けて社内研修を実施する方法も効果的です。

リーダー候補を選定する場合も工夫が必要になります。リーダーに必要なスキルが身についているかどうかは、仕事の成果だけでなく、普段の振る舞いや仕事への取り組みなどからも評価できるもの。

たとえば、挨拶や気配り、人の話を聞く姿勢は人間性が大きく表れる要素です。また、企画を提案をする場面では、提案を実行するとどうなるのかを、聞く側がイメージできるよう論理的に話ができる人はリーダー候補に向いていると判断できるでしょう。

理想のリーダー像は企業によって異なります。自社が求めるリーダー像を明確にして、リーダー候補を選定することが大切です。

5-4 研修後に学習内容を生かせる環境を整備する

研修でインプットしたことを、研修後の実務でアウトプットできる仕組みが構築されていないと無意味になってしまいます。インプットしたことを実務で生かしやすくするには、研修後のフォローが欠かせません。リーダー研修後の実践方法や取り組んだことに対する振り返り、上司からのフィードバックを受けられる環境の構築が求められます。

とくに、上司が部下の研修報告を聞く機会を設けることは、研修内容を参加者に定着させるために重要でしょう。参加者は、上司に研修内容を報告すると、研修内容を整理できるからです。

また研修後に実践することをチェックリストにまとめたり、リーダー研修の3か月後に再び招集をかけて参加者同士で研修後の現状や課題を話し合ったりする機会を作るなどの工夫も大切です。

6.リーダー研修にはどんな種類がある?

リーダー研修は、大きくわけると「必修型」「選抜型」の2種類にわかれます。リーダー研修を適切に実施するためにも、対象者に合う研修を選択しましょう。ここからは、効果的に研修を実施するために、リーダー研修の種類と内容について詳しくみていきます。

6-1 必修型

管理職昇進に必要な条件として含まれている場合も多い研修です。必修型研修は、階層別研修の一種でもあります。従来から踏襲された内容を実施するケースが多いです。

また部署にかかわらず、昇進候補となるすべての人材が受けられるように、内容が広く行きわたりやすい点もメリットといえます。しかし前述のとおり、真新しさを欠き、時代の変化に対応しきれていないことが多い点はデメリットです。

6-2 選抜型

選抜型は幹部候補といった、将来性の高い人材に絞って行うリーダー研修です。優秀な人材の教育スピードを上げられます。しかし、対象者がプレッシャーに感じる可能性もあります。なお選抜型のリーダー研修を実施する際は、研修前に研修の目的や内容に関して丁寧に説明しましょう。選抜型の研修には、以下の3種類があります。

  1. 長期プログラム型
  2. 短期プログラム型
  3. グローバルワークショップ型

6-2-1 長期プログラム型

月に1~2回の研修を半年から1年かけて行う研修です。毎月研修があるため、アウトプットや研修内容の振り返りがしやすい研修といえます。また、研修が長期間におよぶため、参加者同士で意見交換したり、切磋琢磨したり、メンバー間の交流が深まるのが利点です。

長期プログラム型のリーダー研修は、アクションラーニングといった事業課題に向き合うようなプログラムと親和性があります。実施効果は高いものの、研修に多くの時間が割かれる傾向があるため、業務時間とのバランスを取ることが困難な側面もあるでしょう。

6-2-2 短期プログラム型

数日間で完了する研修になります。リーダーの考え方や心構え、具体的な知識・スキルを短期間で修得するもので、座学やワークショップ、講義などが中心です。時間が短いため、効果を得るためには実務に反映させる工夫が必要でしょう。短期プログラム型を実施する際には、研修後のフォロー体制を整えておくことをオススメします。

6-2-3 グローバルワークショップ型

国内外の関係企業などが連携して、参加者が一同に集まって行なわれるリーダー研修のこと。さまざまな業種の企業から参加者が集まるため、参加者同士の交流から参考になる話を聞ける機会も多くなります。ワークショップを乗り切ることで絆が深まり、研修後にも交流が続く好循環が生まれやすくなるでしょう。グローバルワークショップ型のリーダー研修は、多くの企業で採用されています。

7.リーダー研修の実施にかかる費用

リーダー研修を企画する際は、研修費用を考慮しましょう。リーダー研修の費用は、参加者の人数や期間、研修内容や研修場所などによって大きく変動します。参加者を会場に集めて行う一般的な集合研修の場合、半日から1日で行う研修であれば、数十人規模で10万~20万円程度かかることが一般的です。

他方、外部開催などの公開講座の場合は、集合研修と比べて研修費用を大きく抑えられる傾向にあります。公開講座の場合、受講者1人あたり数千~数万円程度で実施可能で、なかには無料で実施できるケースもあるのです。

また、e-ラーニングを活用して研修を実施する場合、さらに費用を抑えられます。スマートフォンやパソコンなどのデバイスで研修を実施できるため、効率的に学習できる点がメリットです。リーダー研修の企画者側も、会場設定や講師委託などの費用がかからない点、負担を軽減できます。

費用だけで研修方法を決めることは避けたほうがよいでしょう。研修費用を抑えたい場合は公開講座やe-ラーニングを視野に入れることをオススメします。

8.会社が実施すべきリーダー教育のポイント

リーダー研修の参加候補となる人材を教育するうえで、会社は以下2つの施策を準備しておきましょう。ただリーダー研修を実施するだけでなく、教育の目的を明確に定めておくことが大切です。

  1. リーダー選抜の基準を明確にする
  2. リーダー候補にメリットを説明する

8-1 リーダー選抜の基準を明確にする

まず、リーダー選抜の基準を具体的に決定することが大切です。自社が求めるリーダー像を明確にして、誰もがリーダー候補を正しく選任できるようにしましょう。リーダー選抜の基準が明確に定まっていれば、リーダー候補は仕事に対するモチベーションを高められます。

一方で、仕事に対するモチベーションや熱意が高いだけでリーダー候補を選ぶことは避けましょう。モチベーションや熱意だけで選んでしまうと、リーダーとしての適性を欠き、リーダー業をまっとうできない可能性も。

またリーダーとして求められている内容と本人がイメージするリーダー業とのギャップが大きくなり、ついていけなくなる場合もあります。そして、会社が求めるリーダーとしての行動が実践された場合、評価を与えるという仕組みを構築することが大切です。「論理的思考がある」「コミュニケーション力がある」「目標管理ができる」など、カテゴリに分類して必要なスキルをリスト化します。

たとえば各カテゴリで3つ以上、全カテゴリ80%以上の人をリーダー研修の候補とするといった基準を設定すれば、選抜の判断に迷わなくなるほか、評価もしやすくなるでしょう。

8-2 リーダー候補にメリットを説明する

リーダー候補が決まったら、本人と話す機会を作ってリーダーになるメリットを伝えましょう。リーダー候補の多くは「自分にリーダーが勤まるだろうか」といった不安を抱くケースも多いです。リーダー候補にリーダーになるメリットを具体的に説明すると、ポジティブな思いでリーダー研修に参加できるでしょう。

なお、リーダー候補によって、リーダー業のどこに魅力を感じるかは異なります。候補者ごとの性格や考え方に即してメリットの伝え方を工夫することが大切です。

また、現職リーダーがいきいきと働けていないと、リーダー候補者はリーダー業に魅力を感じません。リーダー業に憧れを抱いてもらえるように、現職リーダーの働き方を見直したほうがよい場合もあります。

9.リーダー教育の方法

リーダー候補を教育するためには、以下の2点は必ず行っておきましょう。

  1. 1on1ミーティングを実施する
  2. PDCAを回す

9-1 1on1ミーティングを実施する

1on1ミーティングとは、教育リーダー(上司)と1対1で行う話し合いのこと。社員の教育や信頼関係の構築、モチベーション向上などを目的として組織力を向上させるためのミーティングです。相手の話に耳を傾け、現状の課題や問題点、解決策などを考える機会となります。

たとえば「リーダーになるために必要なことがわからない」という話が出たとしましょう。このとき「リーダーに必要なことは〇〇」と答えを説明するのではありません。

「リーダーに必要なことがわからないんだね」と共感し、「聞いていい?たとえば、〇〇さんが尊敬できる上司がいたとしたら、どんなところに憧れる?」といったように答えに近づくための質問を掘り下げて投げかけていき、考えてもらいましょう。

1on1ミーティングの実施によって、部下自身が課題解決に向けて考えて行動につなげる力を養えます。定期的に1on1ミーティングを実施すれば、リーダーに対しての疑問や不安が解決し、前向きな気持ちでリーダー研修や日々の業務に臨んでもらえるでしょう。

9-2 PDCAを回す

リーダー研修を実施しても教育のためのPDCAが回せていなければ効果的ではありません。リーダー研修で学んだことなどを振り返り、実務で実践して課題を改善し、目標を達成していくことが大切です。1on1ミーティングで定期的にフィードバックの機会を設けると、PDCAを効率よく回していけるほか、研修で学んだことに対する理解が実践ベースで深まります。

10.リーダー研修は意味がある!効果的に実施をして教育しよう

企業の成長には、結果を出せる優秀なリーダーの存在が欠かせません。リーダーを教育するには教育の仕組みを整えることが重要であり、教育のスタートとしてリーダー研修が有効です。しかし、教育の仕組みを整えるには、多くの時間とコストが発生します。そのため、リーダー研修の重要性を理解できていても、なかなか進められない現実もあるでしょう。

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また、eラーニングを活用すると研修の開催時期に制限がなくなるのです。いつでも学べる環境が整っているため、研修参加者のスケジュール調整といった手間もかかりません。社内の研修や教育環境を整えるためにも、まずはサービス内容や導入事例の確認、資料のダウンロードを検討してみてはいかがでしょうか。

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