
ハラスメントの種類を一覧表でチェック!発生する要因とリスクも解説
ハラスメントは、人格否定に繋がるような言動をしたり、相手に不快感を与えることで尊厳を傷つけたりすることを意味します。近年、企業内でこのような不祥事が多発しています。今回は、ハラスメントの定義や種類の説明に加え、ハラスメントが発生した時に企業に起こることについて解説します。
目次[非表示]
- 1.ハラスメントとは
- 2.ハラスメントを防止する重要性
- 3.ハラスメントの種類一覧と解説【全14種類】
- 3.1.パワー・ハラスメント
- 3.2.モラル・ハラスメント
- 3.3.ジェンダー・ハラスメント
- 3.4.セクシャル・ハラスメント
- 3.5.マタニティ・ハラスメント
- 4.ハラスメントが起こる要因
- 4.1.職場のコミュニケーション不足
- 4.2.倫理観の欠如
- 5.ハラスメントが発生した時に企業に起こるリスク
- 5.1.損害賠償責任
- 5.2.刑事責任
- 5.3.懲戒処分
- 5.4.労災認定手続きへの関与
- 6.ハラスメント研修におすすめのツール
ハラスメントとは
ハラスメントとは、嫌がらせや迷惑行為を指します。定義は、「行為者の故意の有無に関係なく、被害者が不利益を被り苦痛を感じるような言動」となります。
2020年6月1日よりパワハラ防止法が施行されました。それに合わせて、厚生労働省から職場におけるハラスメントに関するガイドラインが公表されました。
ハラスメントに該当する例として、以下の6つの事例が掲載されています。
①精神的な攻撃
脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言
②身体的な攻撃
暴行、傷害
③人間関係からの切り離し
仲間はずれ、無視・拒絶、隔離
④過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
⑤過少な要求
業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を任命する
⑥個の侵害
私的なことに過度に立ち入る
ハラスメントを防止する重要性
パワハラは、つい最近まであまり顕在化していませんでした。しかし、業績改善のために社員に対して教育や叱咤激励することも必要です。ここ数年の間に、そのような教育や叱咤激励がパワハラと認知されつつあります。
その背景には、労働市場の複線化現象が挙げられます。近年は終身雇用型正社員が原則である雇用形態ではなく、契約社員や派遣社員を含め、企業の同一職場で働く人の利害状況が必ずしも全員同じではなくなってきました。これが、パワハラなどのハラスメントが発生する要因にもなっています。
問題行為となるハラスメントをすれば、会社で配置転換や減給になる可能性があります。相手が精神の支障をきたして働けなくなった場合、傷害罪に問われて15年以下の懲役、または50万円以下の罰金を言い渡されることもあります。(刑法204条)
人間関係のトラブルを未然に防いだり、人を無意識のうちに傷つけたりしないために、ハラスメントの防止が非常に重要となります。
【ハラスメント対策】職場におけるハラスメント・パワハラを防止する重要性と対策法を解説
ハラスメントの種類一覧と解説【全14種類】
ハラスメントの種類は数多く存在しますが、パワハラやセクハラのように法制化の進んでいるものは、ごくわずかです。
職場で問題になりやすいハラスメントは、以下の11種類です。
- パワー・ハラスメント
- マタニティ・ハラスメント
- リストラ・ハラスメント
- モラル・ハラスメント
- セクシャル・ハラスメント
- ジェンダー・ハラスメント
- セカンド・ハラスメント
- アルコール・ハラスメント
- パーソナル・ハラスメント
- コミュニケーション・ハラスメント
- レイシャル・ハラスメント
ネット上で問題になりやすいハラスメントは、以下の3種類になります。
- オンライン・ハラスメント
- リモート・ハラスメント
- テクノロジー・ハラスメント
14種類の中でも、法律で禁じられている行為が定義されているものを含め、5種類を詳しくご説明します。
パワー・ハラスメント
パワー・ハラスメントは、同じ職場で働く者に対して、その上司や立場が上の人が優越的な関係に基づき、適正な業務の範囲を超えて、精神的・身体的に苦痛を与えることを言います。事例は冒頭に挙げた6つが該当します。
職場では、たとえ部下でも失敗を責めたり厳しい言葉を投げかけたりするとパワハラだと指摘されかねません。そのような場合は、パワハラにならないように十分注意する必要があります。
そして、叱責の言葉をかける前に、まずは褒め言葉をかけるようにすると、その後の言葉はパワハラとは受け取られにくくなるでしょう。
どこからがパワハラ?パワハラの定義と判断基準について詳しく解説!
モラル・ハラスメント
モラル・ハラスメントは、言葉や態度等で行われる精神的な暴力のことです。モラルに反する嫌がらせのことで、相手を無視したり暴言を吐いたりすることを意味します。時には何も理由がないのに睨みつけたり、不機嫌そうに振る舞ったり、相手の人格を否定するような言葉を吐いたりすることを指します。
モラハラかどうかの判断は非常に難しいです。もし自分が被害に遭っていると感じたのであれば、相手の言動を録音したり記録したりして、社内の相談窓口などに相談してください。あるいは弁護士などの専門家に相談し、モラハラかどうかを第三者に判断してもらいましょう。
ジェンダー・ハラスメント
ジェンダー・ハラスメントは、性区別のハラスメントを指します。「男らしさ」「女らしさ」という基準を出して、相手が嫌がる差別的な言動を浴びせたり、その基準に沿った行動を求めたりします。あるいは、これらの基準をもとに相手を非難したりします。
「おばさん」「おじさん」「男だから」「女だから」などの言葉は、日頃から使わないようにしましょう。会話で相手を呼びかける時に「〇〇さん」と相手の名字を呼ぶようにするだけでも、ジェンダー・ハラスメントを避けることにつながります。
相手を「ちゃん」付けで呼ぶとジェンダー・ハラスメントと捉えられる可能性があるため、注意してください。
セクシャル・ハラスメント
セクシャル・ハラスメントは性的嫌がらせや性的言動を指すことと思われがちですが、実際にはその範囲は広いです。男性やLGBTに対する性的言動も、セクハラとして扱われます。体に触れるなどの性的行為だけでなく、性的なものを連想させることもセクハラに当たります。
トラブルになるような悪質なものの場合、名誉侵害や精神的苦痛に対する慰謝料の請求の対象になります。精神的・身体的ダメージがあれば、治療費などの損害賠償請求となるケースも少なくありません。
職場では、性的な言動や話題を避けましょう。容姿、服装、性別、プライベートに踏み込むような言葉もセクハラと受け取られかねないため、使わないようにしてください。
マタニティ・ハラスメント
マタニティ・ハラスメントとは、妊娠したことを理由に退職を迫られることを指します。「この忙しい時期に、妊娠なんて勘弁してよ」「つわりが酷くて仕事にならないようなら、辞めてもらって構わないよ」などと、妊娠や出産をきっかけに、職場で妊婦に対して肉体的・精神的に行われる嫌がらせ行為のことも意味します。
妊娠や出産は祝われることであって、不当な扱いを受けるものではありません。給料を下げたり降格をすることも、マタハラに当たります。業務内容の変更や量を減らすなどして、働きやすい環境を整えることが企業に求められるでしょう。
ハラスメントが起こる要因
職場のコミュニケーション不足
職場内でのコミュニケーションが希薄になると、誤解や不満が生じやすくなり、ハラスメントが起こりやすくなります。上司と部下の関係のように、力が不均衡な場面で発生しやすいです。
同僚同士であってもキャリアやスキルに明らかな差がある場合に力関係が生じると、職位のような明確な基準がなくてもハラスメントが発生する可能性があります。
倫理観の欠如
倫理観の欠如も要因の1つです。例えば、自分の言うことを聞かない部下や生理的に合わないと感じた部下に対して、無視をする・悪口を広めるなどを行い、職場にいられなくするケースもあります。
ハラスメントが発生した時に企業に起こるリスク
損害賠償責任
会社が自らの義務である安全配慮義務や職場環境配慮義務に反した場合、被害者に対して損害賠償責任を負うことになります。
刑事責任
刑事責任は、パワハラの行為者およびそれに加担した個人が負います。
懲戒処分
会社としては、パワハラが発覚した場合、職場の規律を維持するために懲戒処分を検討するケースがあります。
パワハラの申し立てがあった際にそれを鵜呑みにして懲戒処分を軽率に行うことはできませんので、事実関係の調査を行うことが必要です。
労災認定手続きへの関与
労災保険は、業務災害と通勤災害について会社に責任があるか否かに関わらず、遺族や被災者に支払われるものです。パワハラについても、それが業務災害に該当すれば、労災保険の対象となります。
会社は労働災害などによって労働者が死傷した場合、労働者死傷病報告を労働基準監督署長あてに提出する必要があります。故意に労働者死傷病報告を提出しなかったり、偽造の内容を記載した死傷病報告を提出した場合は、「労災隠し」として50万円以下の罰金を課されることがあります。厚生労働省もこの事案に関して厳正に対処することとしており、注意が必要です。
ハラスメント研修におすすめのツール
ハラスメントには50種類以上あり、職場の上限関係に関わるものから男女の性別に関わるものまで幅広く存在します。今回は、その中でも5つのハラスメントについての定義や対策をご紹介しました。ハラスメントが起こる理由や企業に起こりうることにも意識を向けて、防止策を講じましょう。
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